自然界で「六角形」は、最小のエネルギーで最大の効果が得られる特別な形です。それだけでなく、六角形の配置パターンは、自然が作り出す最も安定した構造でもあることを知っていますか? たとえば、 ハチの巣穴 雪の結晶、水の分子 虫の複眼(小さな目の集合体)、カメの甲羅 海洋生物の骨格 岩 ウイルスの粒子、遺伝子 なども全て六角形で、これは単なる偶然ではありません。 ここでは、「なぜ自然界が作り出す造形が六角形にたどりついたのか」について、数学者のケルシーさんによるシャボン玉の膜がつくる極小曲面の実験の解説をもとに紹介します。 極小曲面とは、シャボン玉を包む膜の面積を最小にするような曲面を言います。 不思議なことに、シャボン玉を隙間なく並べていくと、球ではなく虫の複眼と同じように六角形の境界線でつながった泡の集合体が生まれます。 自然界で六角形は特別な存在 自然の造形はまるで数学です。 丸い地球には、幾何学模様のクモの巣、三角形の花、らせん状の貝殻など、いたるところに図形が存在します。 なかでも、自然がこよなく愛する形が「六角形」だといわれ、生物から無生物まで圧倒的に多く見られます。 そして、この六角形に隠された秘密を知るためには、まずは球の仕組みから考えていく必要があるようです。 泡の形はなぜ丸いのか? 泡とは、液体に囲まれた一定の体積をもつ気体です。 それはシャンパンのようにたくさんの液体で囲まれたり、シャボン玉のように非常に薄い液体の層で囲まれたりすることもできます。 では、なぜこれらの泡は丸い形をしているのでしょうか?
シャボン玉を平面に敷き詰めた円の断面だけを見ていきましょう。 円が、剛体(どんなに力を加えても変形しない)円板であれば、どうしても円と円の間に隙間ができてしまい、一定の面積において最大でも90%までしか埋めることができません。 しかし、幸いにもシャボン玉は剛体ではありません。少しの間、泡を好きな形に変えられるとしたら、平面をどのように埋めていくと思いますか? 同じサイズ のシャボン玉をタイル張りのように、隙間なく( 無駄な領域がない)平面に並べたい場合、形の選択肢は「三角形」と「四角形」、「六角形」に絞られます。 果たして、その中で最も効率のよい形状はどれでしょうか?